近頃は、「コーチング」という言葉が頻繁に目に入り、耳にも入ってくるようになりました。その分、物珍しさや違和感もずい分減った、という印象です。ビジネスの世界ばかりではなく、看護やリハビリテーション、栄養関連の専門誌でもシリーズを組んで取り上げられているように、医療の世界でのコーチングへの認識は、しだいに高まってきています。
コーチングの定義には色々なものがありますが、よく紹介されているのが「コーチングとは、対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスである」(「コーチングの基本」鈴木義幸)です。とても大きな定義ですので応用範囲が広く、また、この解釈と実践には一つの正解があるのではなく、コーチそれぞれの特性が否応なく前面に出る性質のものです。それが、コーチングの難しさであり、だいご味でもあります。
ところで私は今、リハビリテーションの仕事や職場のマネージメントにコーチングを活用しています。作業療法士として私は、教育を受けている段階から精神医学や心理学を学んできましたし、精神科での経験もありますので、心身両面からクライアントにアプローチをすることは、割合得意な方だという自負心もありました。それでも最近はことに、「コーチングを学んで良かった」と実感することが多くなったように思います(今はまだ実感レベルですので、エビデンスを出すのが今後の課題です)。
外来で通院リハビリテーションをしている患者さんを例にあげますと、こちらがコーチングマインドで関与するのとしないのとでは、終結のタイミングが明らかに違う、という印象です(この場合の患者さんとは整形外科疾患などで、自己管理をするだけの自己効力感と、回復することに目的のある人が条件となります)。お会いするたびに、GROWモデルにのっとった会話を続けていくと、ご本人の目標がしだいに具体的で明確になり、早期終結に向けてのモーティベーションがどんどん高まっていくのがよく分かります。「お任せします。治してください」というスタンスではなく、自責の意識で自己管理を行い、結果を自分で引き受ける姿勢が見て取れます。そして、後遺症も含めた結果に納得し、双方が了解をした上で、すっきりと終結することができます。もちろん、全ての患者さんに通用するわけではありませんが、これまでに出会った、同じような疾患で同じようなタイプの患者さんとなら、明らかに経過と結果が違います(これを、どう証明するのか、ですね)。多くの人に、コーチングへの興味を持っていただき、私と同じように効果を実感して、研究につなげていただきたい、と期待しているところです。
コーチングは、どこにいても、どんな仕事をしていても必須のポータブルスキルです。特に医療・介護の分野では、治療を効果的に進め、職種間の連携を強化し、チームを成長させ、バーンアウトの予防にも役立ちます。
ご自分が担当している患者さんへのアプローチや、学生指導に、チームリーダーとしてのマネージメントにも、まずは活用してみましょう。まだまだ、「コーチングは、敷居が高い」と思っている人が多いようですので、あえてPRさせていただきます。コーチングに関する書籍は沢山出ていますので、情報はいつでも手に入ります。
お知らせ
6月23日に、コーチング協会の第14回年次大会があります。今回のテーマは、「メディカル」です。御関心のある方は、是非ご参加ください。
医療におけるコーチングの展望 日米の視点から
「日本コーチ協会 第14回年次大会」
【詳細のご案内・お申込みページ】
http://www.coach.or.jp/2012/
http://www.coach.or.jp/2012/
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