ここ数年、私が勤務している病院ではリハスタッフが、かなり頑張って実
習生を引き受けてきました。そして異口同音に「話が伝わらない」「指導
が、活かされない」「こちらの話を聞いているのかどうか、分からない」と悩
んでいました。取り立てて問題のある学生はいませんでしたが、とにかく
最低限の課題すらしてこない、とスーパーバイザーをはじめ関係スタッフ
は頭を抱えていたのです。課題が多いのではなく、むしろ「これ以上、削る
ところがない」くらい減らしているのに、何故あっけらかんと「できませんで
した」と言えるのか理解できず、どのように本人とコミュニケーションを取れ
ばいいのか、困っていました。
習生を引き受けてきました。そして異口同音に「話が伝わらない」「指導
が、活かされない」「こちらの話を聞いているのかどうか、分からない」と悩
んでいました。取り立てて問題のある学生はいませんでしたが、とにかく
最低限の課題すらしてこない、とスーパーバイザーをはじめ関係スタッフ
は頭を抱えていたのです。課題が多いのではなく、むしろ「これ以上、削る
ところがない」くらい減らしているのに、何故あっけらかんと「できませんで
した」と言えるのか理解できず、どのように本人とコミュニケーションを取れ
ばいいのか、困っていました。
リハビリテーションの分野では、指導者自身が若いことも多く、実習シス
テムが看護教育と比べて未整備ですので、現場での試行錯誤はもう少し
続くでしょう。そのような中で、最近は学生の臨床実習をより良いものにす
るため、メディカルコーチングやクリニカルクラークシップなどの様々な取
り組みが紹介されるようになってきました。ともあれ、「ゆとり教育世代」と
言われる学生には、養成校も現場もこれまでとは違った対応を迫られて
いるようです。
ところで、上記のようなことは、これまでにも色々なところで書かれている
と思いますので、今日は少し視点を変えてみましょう。
これから10年後のことについて。
今でも、わずか数年前まで学生だった現場のスタッフと現役学生との間
にはディスコミュニケーションが生じています(ちなみに、ディスコミュニ
ケーションは和製英語なのだそうですね)。今の学生が臨床現場に出た
10年後、先輩後輩のジェネレーションギャップが埋まっていれば良いの
ですが、逆にコミュニケーションが取れない状態になってはいないか、と
少し心配もしています。
にはディスコミュニケーションが生じています(ちなみに、ディスコミュニ
ケーションは和製英語なのだそうですね)。今の学生が臨床現場に出た
10年後、先輩後輩のジェネレーションギャップが埋まっていれば良いの
ですが、逆にコミュニケーションが取れない状態になってはいないか、と
少し心配もしています。
もっと気になるのが、クライアントとのギャップです。10年後と言えば、
高齢化社会もピークを迎え、対象のクライアントの多くは80代以上とな
ります。団塊の世代も、リハビリテーションの対象年齢になります。この
世代には高学歴者が多く、主張するべきことははっきりと主張しますし、
筋の通っていないことには断固として抗議をしてくるでしょう(何しろ、学
生運動で世の中を動かした世代ですから)。
高齢化社会もピークを迎え、対象のクライアントの多くは80代以上とな
ります。団塊の世代も、リハビリテーションの対象年齢になります。この
世代には高学歴者が多く、主張するべきことははっきりと主張しますし、
筋の通っていないことには断固として抗議をしてくるでしょう(何しろ、学
生運動で世の中を動かした世代ですから)。
セラピストには、専門知識や高い手技を発揮する前提として、クライアン
トとラポールを形成し、ニーズを把握しゴールを設定して、クライアントの
潜在能力を引き出すためのコミュニケーションスキルが必須となります。
今から、備えておく必要があるでしょう。「そんな基本的なことは、とっく
に習得している」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この
点に関しては自己評価よりも他者評価の方が厳しいことが多いのです。
私たちが挨拶程度のことをして応答があったから、と言ってそれはラポ
ールが形成された、とは言えません(クライアントの方がリップサービス
をしてくれていることもあります)。
トとラポールを形成し、ニーズを把握しゴールを設定して、クライアントの
潜在能力を引き出すためのコミュニケーションスキルが必須となります。
今から、備えておく必要があるでしょう。「そんな基本的なことは、とっく
に習得している」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この
点に関しては自己評価よりも他者評価の方が厳しいことが多いのです。
私たちが挨拶程度のことをして応答があったから、と言ってそれはラポ
ールが形成された、とは言えません(クライアントの方がリップサービス
をしてくれていることもあります)。
今、手元に「10年後に食える仕事、食えない仕事」(渡邊正裕)という本
があります。内容はまさしくタイトル通り。職種によって、人件費の安い
外国に労働市場がすぐにでも移転するものと、しないものがある。医療
職が安泰か、と言えばそうでもない。医師や薬剤師など、日本語での高
いコミュニケーションスキルを必要とする職種は食べていけるが、この本
によればナースも外国人ナースにとって代わられる可能性がある、との
こと。そう言えば、今は国策としてフィリピンなどから看護師候補者を受
け入れている状況ですから、この情報には信ぴょう性があります。
があります。内容はまさしくタイトル通り。職種によって、人件費の安い
外国に労働市場がすぐにでも移転するものと、しないものがある。医療
職が安泰か、と言えばそうでもない。医師や薬剤師など、日本語での高
いコミュニケーションスキルを必要とする職種は食べていけるが、この本
によればナースも外国人ナースにとって代わられる可能性がある、との
こと。そう言えば、今は国策としてフィリピンなどから看護師候補者を受
け入れている状況ですから、この情報には信ぴょう性があります。
では、私たちの職種はどうでしょう。日本人のクライアントを対象としてい
ても、言葉以外のボディランゲージである程度意志伝達が図れる仕事
で、そもそも私たちの母国語でのコミュニケーションスキルが低ければ、
いつ外国人セラピストに参入されても不思議はありません。クライアント
が高齢で認知症の場合、セラピストが日本人でなくとも共感能力が優
れていれば、ノンバーバルコミュニケーションを駆使することで、ディスコ
ミュニケーションを克服できるからです。
例えば、これまでネイティブスピーカーとのリアルな英会話学習はとても
高額でしたが、今はスカイプを使うことで、フィリピンの優秀な大卒者を
相手にいつでもリーズナブルに英会話が学べます(詳しくは、ネットで
「レアジョブ」を検索してください)。同じスキルなら、リーズナブルな方が
選ばれるのは自然のこと。
高額でしたが、今はスカイプを使うことで、フィリピンの優秀な大卒者を
相手にいつでもリーズナブルに英会話が学べます(詳しくは、ネットで
「レアジョブ」を検索してください)。同じスキルなら、リーズナブルな方が
選ばれるのは自然のこと。
あえて、自分に聞いてみましょう。自分の仕事は、日本語でなければ伝
わらないのだろうか。メラビアンの法則によれば、バーバルコミュニケー
ションはコミュニケーションの7%にすぎません。あとは、ノンバーバルコ
ミュニケーション・ボディランゲージで伝わるものです。そもそも、日本の
リハビリテーションは英語圏から輸入されたものですし。私たちのライバ
ルは、急激に増えている同業他者ですか。それとも他職種ですか。私
は、ここに外国人のセラピストも入れておいた方が良いのでは、と思って
いますが。
わらないのだろうか。メラビアンの法則によれば、バーバルコミュニケー
ションはコミュニケーションの7%にすぎません。あとは、ノンバーバルコ
ミュニケーション・ボディランゲージで伝わるものです。そもそも、日本の
リハビリテーションは英語圏から輸入されたものですし。私たちのライバ
ルは、急激に増えている同業他者ですか。それとも他職種ですか。私
は、ここに外国人のセラピストも入れておいた方が良いのでは、と思って
いますが。
こうしてみると、いつまでも、内輪で「ディスコミュニケーション」に悩んで
いる場合ではないような気がしてきます。
いる場合ではないような気がしてきます。